2007年08月02日

『1/2』

川本真琴
★★★☆☆
■97年3月(23歳)■3rdシングル/『川本真琴』10曲目
■最高位2位(シングル9枚中1番目)
■ファン人気◆◆◆ ■ライブ頻度◆◇◇

『DNA』だけでは「懲りてない」。やはり吹っ切れていなかった。
出だしAメロ1からサビ1を経てAメロ2まで、これでもかと“例の願望”を一気にたたみかける。「ノストラダムスが〜」のくだりに至っては、一蓮托生・心中上等の覚悟にまで及んでいて、その強さは『DNA』を超えて疾走する。

だが、こうした願望はなにも特別な代物ではなかったのかもしれない。
「そっぽ見て待ってるから ポッケの迷ってる手で
 ほっぺに触れて 恋してるチカラに魔法をかけて」

かわいらしく韻を踏みながら、“女のコのキモチ”がストレートに歌い上げられ、サビは締めくくられる。

“成熟への戸惑い”は『DNA』のなかでなんとか受け入れることができた。
それが『1/2』では“強さへの憧憬”としてより積極的な態度になっている。
Bメロ2では「見えなくなるほど遠くにボールを投げれる」「おとこの子になりたかった」、「誰よりも強くなりたい」と歌う。

そんな憧憬のなかで主人公は「ちっちゃな頃みたい」に涙をこぼす。
このときもしかしたら「むかしママから教わった大事なオマジナイ」(『ピカピカ』)をそっと唱えたかもしれない。

「届かないって言われたってこのままジャンプしたい」積極的な態度は、ここに至って「最高の1cm」(『愛の才能』)の距離を超えたに違いない。

「ふたりで見てた一コの夕陽」。
“一体化願望”の表象としての「太陽」。
しかし、それが「ずっと沈まない」なんてことはかなわぬ願いである。
それでも一瞬の輝きを信じる主人公の強い思いは、いよいよクライマックスを迎えていく。
「神様」に翻弄されながら。


posted by 鹿鱈 睦馬 at 23:17| Comment(3) | TrackBack(0) | 評論 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
微熱論評もお願いします。あれが一番だと思うので。
Posted by 宇都宮 at 2007年07月05日 15:51
ありがとうございます。
『微熱』は私のウィークリーランキングでもときどき1位になる曲です。
たぶんこのペースが維持できれば、8月初旬までには挑戦できると思います。
「微熱」って何なのでしょうね。気になります。
Posted by 鹿鱈 睦馬 at 2007年07月05日 21:34
『微熱』論評しました。
予定より2ヶ月遅れです。。

「微熱」の意味はかなり悩みました。
温度が高いはずの「微熱」が「とけない」と、あたかも雪のように表現するのをレトリックとしてみるか、深読みするか。
結局、本文では流してしまいました。

なお「意味から強度へ」は昔の宮台真司の
テーゼの借用ですが、たぶん彼の用法とは違います。
Posted by 鹿鱈 睦馬 at 2007年10月15日 01:15
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