2007年07月05日

『DNA』 

川本真琴
★★★☆☆
■96年10月(22歳)■2ndシングル/『川本真琴』4曲目
■最高位10位(シングル9枚中4番目)
■ファン人気◆◆◆ ■ライブ頻度◆◆◇

前期・川本真琴の人気曲の共通点は突き抜けた明るさと速さにある。
もっとも、『桜』や『ひまわり』が清清しい風景描写にもウェイトが置かれるのに対して、『DNA』や『1/2』は二人だけの世界観に閉じられた印象が強くやや趣を異にする。

歌詞の中に登場する事物は、青春に関するさまざまな比喩として聴くこともできる。
例えば「バス停」は青春の終焉と新しい旅立ちの比喩として。
「雨」「カーブ」「コーラ」なども想像してみると楽しい。
こうした表現を通じて浮かび上がるのは「変わってく」「育ってく」“成熟への戸惑い”=「なんで?」であろう。
これが、一つ目の重要テーマである。

二つ目の重要テーマが「身体なら1ッコでいいのに」という“一体化願望”である。
それは「他人同士だからこそ一緒にいられる」という理性に対置される「脳でなんかわかんない」衝動であり、ここに恋愛の宿命的な行き詰まりがある。
「D.N.A.」という主人公のアンビバレントな感情は、この越えられない壁に刻まれたいじらしい落書きなのである。

“成熟への戸惑い”そして“一体化願望”というやっかいな問題。
「眩暈の裸」を痛めながらも、主人公にはわずかな光が見え始める。
「ただそんなことでふたり つながれてる気がしてる」
さらに
「ひとりぼっちを交わして あたしをひらいて」
では“一体化願望”を克服したあたらしいかたちが芽生えている。

とはいえ、最後の最後で「他人だよね?」とつけ加え、頭ではわかっていても心ではやっぱり名残惜しいと歌うあたりが、憎らしい。


posted by 鹿鱈 睦馬 at 00:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 評論 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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