2010年08月28日

『キャラメル』

川本真琴
★★★☆☆
■『gobbledygook』3曲目
■ファン人気◇◇◇ ■ライブ頻度◆◆◇


「246沿いのファミレス」「窓に写る首都高」。
はっきりと「東京」が舞台とされています。
『LOVE&LUNA』でも「首都高」は出てきましたし,『タイムマシーン』でも「渋滞の八号線」という東京を思わせるモチーフが出てきました。
(ところで,『LOVE&LUNA』にも「首都高」という言葉がありますが,あまり必然性がない気がします。強いて言えばA面の『DNA』における郊外的なイメージに対するカウンターとしての意義でしょうか)
しかし,『キャラメル』は,夜の,静寂な,東京の一隅を思わせる空気を感じさせる点で独特です。


首都高が喩えられる「メタリックな臓器」という表現や「ウェイトレスがキッチンで眠る」という描写からは,2人以外に人の気配が感じられず,時間が止まっているかのようです。
舞台がはっきりと東京とされているだけに,その効果は大きい。
さらに,「キャラメル色の月」というポップだけど不気味な光源がそうした特異な時間と空間を決定的にしています。


構成も意識的です。
「パンケーキにしみこんだシロップ」(これは,直後の「抱き合うあたしたち」を喚起させます。)というミクロな視点から,
「246沿いのファミレス」という東京の一隅に引き,
「キャラメル色の月」というマクロな視点まで上る。
再び「窓に写る首都高」に寄せられ,眼前の「君と食べてるサラダ」まで戻る。
主人公の思索を経て,再び「キャラメル色の月・・・ロックオン!」。


月といえば,先ほどの『LOVE&LUNA』が想起されす。
退廃的な男女の1シーンを歌った点で,『キャラメル』と共通するものがあります。
ただ,『キャラメル』の主人公は,『LOVE&LUNA』の主人公のような破天荒さは,ない。
「君を失うあたしの未来」を想い,「このキスに何を誓う?」と誓いを求めているくらいです。


「ニュースが事件に気づく頃 あたしたちはもう退屈んなって」
「1秒後占う方が ずっと難しいことだって気づかない」
この2節は,「地球をはみ出すJETなモーション」をかけて,周囲を置き去りに,果ての果てまで行き着いてしまった姿でしょうか。特に印象的な部分です。


『LOVE&LUNA』では,
「あたしたち,もうループのまんまじゃいらんない」
と息巻いてたはずなのに,
「テーブルのグラスが揺れる」という不穏な兆しが「デジャブ」として立ち現れてきたところで,唐突に歌は終わります。
posted by 鹿鱈 睦馬 at 12:12| Comment(0) | TrackBack(0) | 評論 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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