2014年12月12日

『ブロッサム』

川本真琴
☆☆☆☆☆
■01年10月(27歳)■9thシングル
■最高位33位(シングル9枚中8番目)
■ファン人気◆◇◇ ■ライブ頻度◆◆◇


『gobbledygook』から約半年後に発表され,
メジャーレーベルから最後に発表されたシングルのA面曲。

川本真琴は作曲のみを担当し,作詞は七尾旅人が担当している。


メジャーレーベルのシングルA面とは思えない低いテンションや,
彼女の姿がないジャケットに,
当時のファンは,『ギミーシェルター』以上に戸惑ったのではないだろうか。

今でこそ,この曲は,
彼女が自らに由って立っていく岐路にあったことを鮮烈に印象づけるが,
また,彼女の弾(はじ)き出すピアノの響きが,のちの『クローゼット』などへの飛翔を感じさせるが,
あくまで今でこそだ。


七尾旅人の削ぎ落とされた詞は,川本真琴の声を生々しく浮き彫りにする。

「正しすぎ」る歌を「聴かせないでください。」
「ふしだらだよ。僕に聴かせないでください。」
正しすぎて,そして,ふしだらな歌。
正しいことが,不誠実なことになる,つまり,うわっつらだけの歌。
そんな歌への拒絶感。

「ねえ どうしたいの?」
という問いかけは,メジャーレーベルを去ろうとする自身への問いかけとも重なるように聞こえる。

「神様がいたころ,すごい昔。」
「君の胸に,頬に,花が咲いた。」

七尾の紡ぐ言葉をなぞることが,あたかも三面鏡の中の自分に向かって呟いているようで,
それが,自己完結した,しかし閉塞した,妙に切なく,寂しい余韻を残す。

果たして花は再び咲くのか。

posted by 鹿鱈 睦馬 at 00:02| Comment(0) | TrackBack(0) | 評論 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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